辨 |
ボウフウ属 Saposhnikovia(防風 fángfēng 屬)には、次の1種がある。
ボウフウ S. divaricata(S.seseloides, Ledebouriella divaricata, L.seseloides,
Siler divaricatum;防風・北防風)
『中国本草図録』Ⅵ/2757・『中国雑草原色図鑑』152・『中薬志Ⅰ』彩図26
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セリ科 Apiaceae(Umbelliferae;繖形(傘形) sănxíng 科)については、セリ科を見よ。 |
訓 |
漢名防風(ボウフウ,fángfēng)は、病の風を治すことから。和名は、漢名の音。 |
深江輔仁『本草和名』(ca.918)防風に、「和名波末須加奈、一名波末尓加奈」と。
源順『倭名類聚抄』(ca.934)防風に、「和名波万須加奈、一云波万仁加奈」と。
ただし、これらはハマボウフウをさしたものか。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』9(1806)に、「ハマオホネ延喜式 ハマニガナ和名鈔 ハナスカナ同上」と。 |
説 |
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・陝甘・モンゴリア・極東ロシア・シベリア南部に分布。
日本には享保(1716-1736)年間渡来し、奈良県大宇陀森野(蔵助)薬園で栽培され、蔵助防風・宇陀防風の名があった(『本草綱目啓蒙』9等)が、今は絶滅したともいう。 |
誌 |
中国では、次の3種が防風として薬用に供せられている(『中薬志Ⅰ』pp.256-262)。
防風(關防風・東防風) Ledebouriella seseloides(防風)
川防風 Ligusticopsis brachyloba(短裂藁本・川防風)
竹葉防風 Seseli delavayi(竹葉防風・雲防風) |
日本では、生薬ボウフウは ボウフウの根及び根茎である(第十八改正日本薬局方)。2年目の根・根茎を乾燥し、薬用にする。
かつて日本では、ハマボウフウ(浜防風) Glehnia littoralis・イブキボウフウ Libanotis coreana などで代用したのに対して、本種は真防風・唐防風などとも呼ばれた。
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屠蘇散(とそさん)は、中国の魏の名医 華陀(かだ)が処方したと伝えられる漢方薬、肉桂・山椒・白朮・桔梗・防風・陳皮などを調合したもの。これを清酒または味醂につけたものを屠蘇酒と呼び、正月に飲む。 |